読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

アメリカ健康管理法〔AHCA〕可決!

★ 我が国を含め、世界中から15万人の内科専門医が入会している、世界最高権威を誇る国際学会、

アメリカ内科学会〔ACP〕からの緊急声明です。

アメリカ大統領選挙マニフェストのひとつとしてトランプ政権が掲げて来たオバマケアの廃止を宣言して来ましたが、

2017年5月4日

新たな『アメリカ健康管理法』〔AHCA〕が米下院議会で可決されました。

これを受けて、

ACPや医師会、各大学などが一斉に反対声明を緊急発表しています。

今回のAHCAの最大のポイントは、経済的弱者に対する医療費負担制度

『メディケイド』

への連邦政府の干渉を減らし、資金の拠出も減らそうというもので、

経済的な自立を促すことにより、より多くの貧困層が加入し易く、保険適応範囲も増やそうというのが改革の骨子となっています。

アメリカの健康保険は、基本的に所属する企業などの事業主と加入者との保険料折半となっているため、

正規雇用者以外には非常に敷居が高い制度になってしまっています。

事業主の負担も大きく、民間企業は疎か公務員にも正規の健康保険に加入出来ていない職員が大勢いることは、海外にはあまり知られていません。

しかし、民主党の試算では、下記の参考資料〔BBCニュース〕のように、

今後10年間でメディケイドによる財政赤字が約38兆円減少する一方で、

最大5200万人が健康保険を失う可能性があると主張しています。

オバマケアのままでも、約2800万人がメディケイド加入資格を喪失!〕

我が国は、世界に誇る国民皆保険制度を有しているので、アメリカの状況は報道を聞いてもピンと来ないでしょう。

上述のように、国際社会では健康保険制度があるとは限りません。

健康保険は政府管掌ではなく、民間の保険会社の「商品」ですから、社会的地位によって、購入できる健康保険商品にも差が出て来ます。

統計資料で「十分ではない民間の健康保険」という括りがありますが、その主観的な分類の感覚も日本とは隔たりがあり、

例えば、ボクがアメリカで『ブリガム&ウィメンズ病院』を介して加入していた健康保険の負担率は〔医科・歯科ともに〕、

予防100%、検査70%、治療50%と、

日本の健康保険のカバレッジとはかなり違っています。

例えば、虫歯の治療で詰め物をしてもらった場合、保険会社が指定する専門医に治療を受けると、自己負担が約15万円。非専門医で約10万円。保険会社の指定を受けていない歯科医による治療には保険金はおりません。

“かなり高いな…” という印象を受けるかと思いますが、

医科も同様で、

例えば、いわゆる「盲腸」… 急性虫垂炎で手術療法と、5日間程度の入院治療を受けた場合、自己負担金額は、約180〜200万円かかります。

メディケアに対するカバレッジは、日本の生活保護と同様に100%です。

日本の生活保護医療費に対しても様々な批判と議論がありますが、ただでさえ医療費の個人負担率が高いアメリカで、メディケアの対象者をより適正に絞りたいというのは当たり前の動きと言えます。

我が国も、いつの間にか、社会保険が『協会けんぽ』と民営化が進められ、

破綻する破綻すると大騒ぎになっていた年金も、「解釈」を変更することにより、破綻しないことになりました

〔これらについては詳細割愛〕

そりゃあ、社会保障は手厚い方が良い

でも、税金が増えるのは真っ平御免…

という、虫の良いハナシは通用しないのが国際社会の常識ですが、

アメリカ内科学会で、

議決権を持つ我々フェロー〔FACP〕以上の会員としては、

〔声明を発表した会長は、更に上級のマスターMACP〕

とりあえず一票、弱者のために投票しておく… といったところでしょうか…

〔出典〕

ACP ‘Extremely Disappointed’ by House Vote to Pass the AHCA; Urges Senate to Reject the Bill and Start Over

https://www.acponline.org/acp-newsroom/acp-extremely-disappointed-by-house-vote-to-pass-the-ahca-urges-senate-to-reject-the-bill-and-start

〔参考〕

BBCニュース - トランプ米政権の医療保険改革 「1400万人が保険失う」

http://www.bbc.com/japanese/39263438